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鳥居

個人的まとめ(仮)

 まとめ(仮)

一、偶然物語が似通い、その結果、偶然表現も似通った。
 
 偶然物語が似通うことは、他にも例があるので、十分考えられる。だが、画面の演出まで似通う可能性は低い。「似通った設定だと必ず絵も似るのか」参照。
 
 
二、偶然同一のモデル(ポーズ集、カット集、漫画の書き方本など)を使用していたため似通った。
 フリー素材のポーズ集やカット集であれば、参考にしても何ら問題はないが、そういった本に収録されるのは基本的な物や汎用性の高い応用がきく絵が優先されていると思われる。汎用性の高いスポーツ中の絵や、走る姿などが重なることは考えられるが、汎用性の低いポーズの絵まで重なる可能性は低い。また、仮に人物のポーズは同一ポーズ集の類を使用していた為という場合を考えても、ページ単位でコマ割まで似る可能性、連続した数コマで同じ絵が重なる可能性はひくいと考える。「絵の類似点2」「『霊感~』と『闇は~』の他作品の絵を比較」参照。
 また、同一ポーズ集やカット集を使っていた場合でも、それがフリー素材でなければ秋乃・松本両作者に問題があることになる。
 
 
三、秋乃茉莉と松本洋子とは同一人、もしくはそれに準ずる共同執筆者のような関係である。
 秋乃茉莉の絵の癖と、松本洋子の絵の癖は通常は違って見える。構図が類似している場合も人物の顔立ちや手書き文字などは全く違うので、同一人である可能性は低い。ここは本来秋乃茉莉と松本洋子との類似についての考えを述べている場なので少々話が違うが、篠原千絵や垣野内成美とも類似したポーズがあるので、それらの作家とも同一人だとすると仕事量の面から無理があると考える。
 姉妹、共同執筆者等であるという話は聞いた事がないが、確認していない以上可能性は皆無ではない。私は、同一人の可能性を検討した際と似た理由だが、篠原千絵や垣野内成美など複数人とそれほど近しい関係を築き、且つ、それが全く表に出ないとは考え難い為、可能性は低いと考えている。(ここより後ろの補足資料ページ「その他の作家と松本洋子との類似点」を参照)
 
 
四、原作者名は表記していないが、双方同一の作品を元にしている。
 原作があるという記述は見あたらないので、原作付きではないと思われる。ただし前述通り著作者の権利の中には「名前を表示されない権利」も含まれるので、原作者名の表記がなくても可能性は皆無ではないが、同一の作品を元にしていた場合も、構図やコマ割りまで一致する可能性は少ないと思われるのは前述の通りである。ベースにした作品が文章や音楽であればまず構図が一致しづらい。映像であれば、コマ割りが一致しづらい。漫画であれば構図も映像も一致する可能性は高くなるが、原作が漫画であった場合、同一の漫画という表現形式で複数回リメイクしなければならない理由というのが考え難くなる。「似通った設定だと必ず絵も似るのか」参照。
 
 
五、秋乃茉莉が松本洋子サイドに許可を得た上で参考にした。
六、秋乃茉莉が松本洋子作品を許可を得ずに参考にした。(意図的に盗作した場合から、以前に読んでいて、その印象が残っていたというような故意でない場合までを含む)


 五・六ともに、初出年月日が、秋乃茉莉の方がはやいことから、まずあり得ない。  
 
 
七、松本洋子が秋乃茉莉サイドに許可を得た上で参考にした。

 秋乃茉莉の許可を得ているという記述は見つからないので、許可を取ってはいないと思われる。ただし、著作者の権利には「名前を表示されない権利」も含まれているので、秋乃茉莉が許可は出したが名前の表示を断ったという可能性は皆無ではない。  

 
 
八、松本洋子が秋乃茉莉作品を許可を得ずに参考にした。(意図的に盗作した場合から、以前に読んでいて、その印象が残っていたというような故意でない場合までを含む)

 以上の七項目を自分なりの理由に基づいて、可能性が低いと判断したので、この項目の可能性が高いと私は考える。  
 
 
九、その他(考えられるパターンを募集中)

 何かありましたら教えてください。とりあえず、今のところ思いつきません。

 
 



 はじまりは、設定がすこし似ている二つの作品を見つけたことにあった。二つを良く見比べると、設定以外に画面も似ていた。設定がたまたま似通ったと仮定しても、設定が似ているからと言って、必ずしも画面まで似るわけではないはずである。しかも、1作品同士ではなくシリーズ全体同士としてみてみると、設定が似てもいないのに画面が似ていることがあり、似ている絵の中に『霊感商法株式会社』ではそのような絵になる必然性があるが、『闇は集う』ではそのような絵になる必然性がない、という絵がある。これらの類似絵は、いずれも、『霊感商法株式会社』のほうが初出が先である。(一部不明な物あり。)


 ここまでのことを考えてきて、私が至った結論は、松本洋子が「闇にその名を呼べば……」を描くにあたって、秋乃茉莉の「七週間」を故意に真似たために、この二作品間に類似性が生じた、もっと言うなら松本洋子が『闇は集う』シリーズを描くにあたって秋乃茉莉の『霊感商法株式会社』シリーズを故意に真似たために、この2シリーズ間に類似した絵が存在するという物だ。それが、盗作・オマージュ・参考などのどの言葉にあたるかというのは、描き手本人と読み手との間に温度差が生じることもあろうし、読み手の間でも分かれる所だと思うが、一読み手である私・長鳴鳥は「盗作」にあたると思う。


 法的には、どうなるのか。私は法律関係に明るくないので実際の所、よく解らない。ひっかかるとすれば知的財産権関係……特に著作権法だろうとは思うが、私は著作権法に関しても、そもそも漫画が<言語の著作物>になるのか<美術の著作物>になるのかすら解らないくらいだ。
 そもそも、『霊感商法株式会社』と『闇は集う』というシリーズ単位、「七週間」と「闇にその名を呼べば……」という作品単位、ページ単位、コマ単位、コマの中の絵の一部分、法的にはどのレベルで判定する物なのだろう?

 漫画-漫画間の盗作に関する判例があれば参考に出来るのだが、これが意外と見つからない。最高裁のサイトには、知的財産権関連の訴訟に関する検索システムがあり、条件を入力すると判決文が見られるのだが、ざっと見た限りでは漫画の盗作に関する訴訟は古本雑誌の広告用の漫画を電話帳の広告漫画が盗用したという訴訟位しか見あたらないようだった。稀に盗作が見つかっても、訴訟までいくことは少ないのかも知れない。
 とりあえず、件の盗用されたとする作品と盗用したとする作品とをネット上で発見できなかったので今一つ参考にできなさそうな、古本擬人化漫画-電話帳擬人化漫画間の訴訟判決文を見てみた所、漫画の盗用に関して判断する場合には、ストーリー、キャラクターのデザイン、コマの構図、キャラクターのポーズなどを参考にして判断して貰えるらしい。

 だが、漫画-漫画間の盗作が、著作権法にしか引っかからないとすれば、著作権法第123条で、上記もろもろの権利侵害は告訴がなければ公訴できないと書かれているので、盗作された作者がその旨告訴しなければ、盗作した者が訴えられることはない。盗用された作者と盗用した作者との話し合いや、双方の出版社間の力関係で不問と言うことになってしまえば、読者がその内情を知ることもない。一読者である私がいくら不快だと思っても、権利者がかまわないと思っていればそこでおしまいと言うことになる。

 雑誌の次の号などで謝罪文と事の経緯などが掲載されれば、一読者としても納得がいく。問い合わせをした人にのみ「影響を受けた」とか「読んだ物が記憶に残っていたのかも」というような言い訳が送られて来ることもあるが、それだって、心から納得とはいかないまでもこちらの言うことに耳を傾けてくれたのだということが解る。読者へのリアクションが全くなかったりすると、私などは、盗作した作者のみならずその作品を世に出した出版社全体への不信感さえ抱いてしまう。

 著作権法では権利者の告訴がなければ公訴できない。一読者たる身には何の権利もない。確かに、読者はその作品に対する何の権利も有していないが、だからといって少しおかしくはないだろうか。盗用された本人が訴えなくても、気付いてしまった読者の中には……少なくとも私の中には不快な思いが残る。一冊ほんの数百円であろうと、その中で松本洋子の手に渡るのはほんの1割ほどであろうと、(正規に書店で購入している)読者はそれが松本洋子の作品だと思って、出版した会社や松本洋子に代金を支払っている。食品の不当表示ではないけれど、本来は他者の作品であるのに松本洋子の作品であると購入者を騙していたのだから、読者にも何らかの形で説明を要求する権利はあるのではないだろうか。そんな些末のことなど構っていられないのかも知れないが、ならばせめて、意見を表明する権利位は認められてしかるべきではなかろうか。この一連のページはそんな思いのあらわれである。

 私はいくつかの作品を見比べてみた結果、松本洋子は他者の作品を故意に真似ているという結論に達したが、真実は松本洋子本人にしかわからない。
 仮に松本洋子本人に「盗作」という程のつもりはなかったのだとしても、漫画家が既存の作品と類似した漫画を発表して収入を得ていた以上、描き手自身が既存の作品を知らなかろうと、オマージュのつもりで描こうと、そういった事情を関知しえない読者の批判をうける覚悟は必要だろう。知らなかったなら、知らなかったことを恥じ、オマージュのつもりが盗作の誹りを受けたなら、オマージュだと読者に伝えきれなかった自らの筆力を恥じる、そのくらいのプロ意識を持ってほしいと、私は思う。
 そして、知らず盗作を世に出してしまった出版社は、責任を持ってきちんとした対応を見せて欲しいと思う。世の中にこれほどの数の漫画があふれている以上全てチェックしきれるものではないことは十分に解るが、望むらくは、せめて同じ出版社から発売された作品位は、それが無理ならば(○○コミックス、などの)同じレーベルから発売された作品位はチェックできて欲しい。
 
 ここでは、松本洋子とその作品を現在でも販売している講談社に限った話のように見えるかも知れないが、盗作云々とは別にしても、全ての漫画家、全ての出版社が誇りを持って作品を創り販売してほしいと私は願っている。


 

 

 

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